いつか晴れた日に

「……涼」

来てくれたんだ。
安堵からホッと息を吐くと、涙が流れ出て止まらなくなってしまった。

「安西さん、怪我してない?」

「うっ……、ひっく……」

黒崎くんの優しい声に、尚更涙が止まらなくなる。

わたしと目線を合わせて屈んだ黒崎くんは、「もう大丈夫だよ」と微笑むと、怪我を確認するようにわたしの身体に触れた。
頭、頬、それから肩へと涼の手がなぞるように下りていく。

「痛っ」

強い力じゃなかったのに肩に触れられると、我慢するつもりだった声が漏れてしまった。

「ここ、痛い?」

小さく頷くと、「俺が付き添うから、病院に行こう」とわたしの腰を抱くように立たせてくれた。
それから、唇から血を流して蹲っている池永さんを睨みつける。


「安西さんに何をしたんだよ?」

「……お前に、関係ないだろ。それより、俺を殴ってタダで済むと思うなよ?」

この期に及んで、こんな暴言を吐く池永さんに、これ以上ないほどの嫌悪感を抱いた。

「あんた、バカ?」

「は?」

「あんたがしたことは、防犯カメラに映ってるんだよ。大事(オオゴト)にしたくなかったら、安西さんに謝って赦してもらうんだな。ま、俺だったら、絶対赦さないけどね」

吐き捨てるような黒崎くんの言葉に、池永さんは唇を噛んで黙り込んだ。

「さ、行こうか」

どこから持ってきてくれたのか、黒崎くんが脱げたヒールを履かせてくれた。

「ありがとう」

「あ、これ、壊れてるね?」

「……うん」



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