いつか晴れた日に
「出来てからのお楽しみと言いたいところだけど、食材見たらバレちゃうよね?」
そう言って、黒崎くんは楽しそうにパックの海老を手に取った。

「もしかして、エビフライ?」

「うん、そう」

黒崎くんは得意気に微笑んで、「油ある?」とカートを押しながら振り向いた。


「……どうして、エビフライなの?」

心の中がザワザワする。
エビフライは子供の頃からの大好物で、涼も前にわたしの家で作ってくれた。

これは、ただの偶然?
それとも……。

「嫌い、だった?」

余程わたしが変な顔をしていたのか、黒崎くんの表情が曇る。

慌てて「違う」と、顔の前で手を振って「エビフライは大好物だよ」と笑った。


部屋に戻ると、黒崎くんは慣れた手つきで料理を始めた。
エプロンを渡すと「ありがとう」と素早く身に着けて、「テレビでも見て、待ってて」とわたしを
リビングに押し戻した。

わたしがしたことと言えば、炊飯器のスイッチを入れたぐらい。
しばらくテレビを見ていたけれど、黒崎くんにだけ料理をさせるのはやっぱり申し訳ない気がする。

「やっぱり何か手伝うよ」

そう言ったところで、「大丈夫」と頑なに拒絶されると何も言えなくなる。

「じゃぁ……」

キッチンも狭いし、わたしがいると邪魔かもしれないと思いなおして、おとなしくテレビを見ることにした。


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