いつか晴れた日に
 

食事が終るとコーヒーを飲みながら、少しお喋りをして「そろそろ帰るよ」と言った黒崎くんと一緒に部屋を出た。

「送ってくれなくて大丈夫だよ?」

「コンビニで買い物がしたいの。だから、途中まで一緒に……」

半分本当で、半分嘘。


通りに出て、スーパーを通り過ぎたところで、突然、黒崎くんが立ち止まった。

「どうしたの?」

「買い物なら、スーパーの方がいいんじゃない?ほら、コンビニまで行くと、遠くなるし」

心配してくれるのは嬉しいけれど、もう少しだけ、黒崎くんと一緒にいたい。

「コンビニでスイーツ買いたいから」

「そうなんだ」

納得してくれたのか、黒崎くんはニコリと微笑んでそれから歩き出した。

地下鉄の駅まで、あと少し。


交差点で立ち止まる。

わたしは道を渡って、向かいのコンビニに、黒崎くんはそのまま、真っ直ぐ駅に向かう。

「黒崎くん、今日は色々ありがとう」

「じゃ、安西さん、帰りは気をつけて」

「ありがとう」

もう一度、お礼を言って手を振った。

黒崎くんに背中を向けると、途端に寂しくなって、そっと振り向いたけれど、黒崎くんの姿はもう見えなかった。

今度、黒崎くんが部屋に来てくれたら、わたしが料理を作ってもてなそう。
何がいいかな。好きな料理を聞いておけばよかった。

そんなことを考えながら、交差点に一歩足を踏み出した。

コンビニは目の前。






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