いつか晴れた日に
消毒液の匂いとモニター音で目が醒めた。
頭が重くて視界もぼやけている。

一瞬、自分が何処にいるのかわからずにパニックになりそうだった。

ここは、病院?

看護士の女性が「大丈夫ですか?」と声を掛ける。それに頷いて起き上がろうとすると酷い眩暈に襲われた。

「……う、……」

気持ち悪い。吐き気がして口を押さえた。

「頭を打っているから、無理をしないで下さいね」

看護士さんの優しい声に小さく頷いて、また横になった。


わたし、どうしてここにいるんだっけ?
黒崎くんと一緒に家を出て、コンビニに向かったよね。信号が青になって、歩き出した。

そしたら、トラックがわたし目掛けて突っ込んで……

手足をそっと動かしてみる。大丈夫。あちこち痛いけど、我慢できないほどじゃない。

「奇跡ですよ。トラックにはねられたのに、ほぼ無傷ですから」

にっこり微笑まれ、ことの重大さを認識する。

意識が覚醒してくると、途端に不安になった。

あの時、わたしと一緒にいたチビタは?もしかして、あれは夢なの?

それとも……


「あの、わたしの他に黒い大きな犬はいませんでしたか?」

犬だったら、動物病院に運ばれるのかな?
じゃ、看護師さんに聞いてもわからないかもしれない。

「さあ、それはわかりません」

「そうですか……」

落胆していると、看護師さんが思いがけないことを口にした。




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