いつか晴れた日に

「一緒にいた男性は、今集中治療室で治療を受けています」

「えっ?」

一緒に居たのは男性って、どういうこと?
チビタを抱き締めた感覚は、まだ手の中に残っている。
これは、なに?

「……わたしと一緒にいた人って、誰ですか?」

わたしの突拍子も無い問いに、看護師さんは困ったように顔を歪めた。
それは当然だ。そんな質問をしたところで、答えられるはずもない。

「あの、その人に会えますか?」

「先生に確認しますね」

「はい。お願いします」

看護師さんが出て行くと、静まり返った病室にモニター音が響く。

わたしだけ、無傷って……。

一緒に病院に運ばれた男性は誰だろう。
黒崎くんと直前まで一緒にいたけれど、黒崎くんの姿が見えなくなるまで見送ったことをなんとなく覚えている。
だとしたら、トラックにはねられたのは黒崎くんじゃない。

……じゃ、わたしと一緒にいた人は誰?
考えていると、また頭が重くなってしまった。

ほぼ無傷と言っても、アスファルトに叩き付けられたのだ。身体中がギシギシと痛む。

しばらく、目を瞑ってじっとしていると、看護師さんが戻ってきた。

「先生に確認してきましたけど、今日の面会は無理みたいですね。明日経過を診て判断するそうです」

「……わかりました」

「どこか、痛みますか?」

「頭が重たくて……」

そう言うと「鎮痛剤を持ってきますね」と看護師さんは笑顔を残して病室を出て行った。





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