いつか晴れた日に
心臓がドクドクと激しく脈打っていた。

車椅子で近付けるギリギリの距離で、目を瞑っているその人の顔を覗き込む。

黒いサラサラの髪、通った鼻筋、ギュッと結ばれた唇。
その顔を見て、愕然とする。

「…………」

どうして、黒崎くんなの?
手を伸ばして、動かない黒崎くんの指をギュッと握った。

どうして?
わたし、黒崎くんを見送ったよね?

それなのに、、どうして黒崎くんが治療を受けているの?


『俺、魔法が使えるんだ』

頭の中で涼の声が響く。

もしかして、黒崎くんが涼、つまりチビタってこと?


やっぱりそうなんだ。
そう思うと全てのことが納得がいく。

同僚として現れた黒崎くんは、最初からわたしに優しかった。
いつも困ったときには助けてくれて。傍にいて励ましてくれた。

黒崎くん。ううん、涼、お願い目を開けて。

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