いつか晴れた日に
 
「涼の、バカっ」

「ごめん、ごめん。機嫌直して?」

「『ごめん』は一回でいいの!」

軽く涼を睨んで、プイッとソッポを向くと

涼は「怜奈ちゃん、ごめんね?」と言って、わたしの手を握り直した。


「早く怜奈ちゃんの家に帰ろう」

優しくて温かい涼の手に再び包まれる。

その温度が心地良くて。わたしは黙って涼に着いて歩いていく。
帰る場所は同じ。それが、どうしようもなく嬉しくて仕方が無い。

歩幅を合わせて歩いてくれる涼に寄り添うように、わたしは繋いだ手にギュッと力を込めた。


近くのスーパーに寄って食材を買って帰った。

「二人なのに、そんなに買ってどうするの?」と涼は目を丸くしたけれど。

この週末は、涼に栄養のあるものを食べさせてあげたくて。料理が得意ってわけでもないのに、メニューを思いつくまま買い物カゴに食材を放り込んでいた。

「ただいま」

いつものクセで、玄関に入るなりそう言うと、「お帰り」と涼が返事をする。
それが、妙に可笑しくプッと吹き出して笑うと、涼は不思議そうに首を傾げた。

「なんで笑うの?」

「だって、一緒に帰ってきたのに」

「ああ、そっか。俺、あの頃、いつも『お帰り』って言ってたから、つい……」

あの頃とは、子供の頃の話だろう。
学校から帰ると、尻尾を振りながらわたしに飛びついてきたチビタ。

あのチビタが涼だなんて、未だに信じられない。




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