いつか晴れた日に
思わず笑ってしまいそうになった口元を慌てて引き締めた。

あの柔らかい雰囲気に騙されちゃダメだ。
この男はピッキングもやっちゃうストーカーなんだから。

「怜奈ちゃん」

「なに?」

「今日、泊まってもいい?」

「ダメに決まっているでしょ!」

やっぱり、そうきたか。一瞬でも気を許した自分が馬鹿だった。


「片付けが終わったら、さっさと出て行って」

キッと睨みながら、追い出そうと玄関のドアを開けると、いつの間にか、激しい雨が降り出していた。

「俺、行くところがない」

「あなたの事情なんて、わたしには関係ないの。この傘あげるから、出て行って」

背中をドンと押すと、男は潤んだ瞳でわたしを見詰めた。


「初めて会ったときも、雨が降ってた」

「え……」

「寒くて凍え死にそうになっていた俺を怜奈ちゃんが助けてくれた」

「な、何を言って……」

……そうだ。

わたしがチビタに出会ったのは、こんな雨の日だった。
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