いつか晴れた日に

「チビタ」

「そうじゃなくて」

「……涼」

「涼、今日だけ、泊めてあげる。だけど、明日には帰って。そして、もう二度とここには来ないで」

涼は何も答えなかった。

ただ、少し寂しそうに微笑んでいた。


その日の夜、わたしは夢を見た。

それはチビタと一緒に暮らしていた、きっと一番幸せだった頃。

チビタと散歩して、その後、公園でボール遊びをした。一緒のお布団に入り、その日の出来事をチビタに報告しながら眠りについた。

わたしの友達は、チビタだけ。
それでも良かった。他に何も欲しいものなんて無かったから。


チビタとたった一ヶ月で離れ離れになったのは、チビタを拾った時点で、既に父さんの転勤が決まっていたからだ。

新しい借り上げ社宅は、ペットが禁止だった。
もう少しチビタと早く出会っていれば、会社に対して申し入れが出来たかもしれないけど。

契約してしまった借り上げ社宅を変更することは出来なくて。結局は、チビタを手放すことになってしまった。

わたし、チビタと離れたくなかったよ。
ねぇ、チビタ。新しい飼い主さんからは大切にしてもらえたの?

ずっと、気になっていたの。

チビタは幸せだった?

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