いつか晴れた日に

そんなの、どう考えても困る。

「あのね、昨日わたしが言ったこと覚えてる?」

「…………」

都合が悪い話は聞かなかったことにするつもりなのか、涼は黙り込んでしまった。

「覚えていないなら、もう一度言うけど、此処には二度と来ないで」

「怜奈ちゃん」

「うん?」

涼の濡れたような黒い瞳が、悲しそうに揺れた。


「俺、時間が無いんだ」

その悲しそうな表情が、あの時の捨てられていたチビタと重なって、胸の奥が苦しくなる。

そんな顔するなんて、ズルイよ。
きっと、涼はわたしが冷たく出来ないことをわかっているんだ。

「時間が無いって、なに?」

この言葉だって、わたしが気になるように、言っただけでしょ?


「それは、言えない」

ポツリと呟くと、涼は急に明るい笑顔を見せて「早く支度しないと、遅刻しちゃうよ?」と急かす様にわたしを洗面所へと押しやった。
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