いつか晴れた日に
池永さんの指がわたしの指を絡め取る。
どうしていいのかわからずに、ただ意識だけが右手に集中してしまう。

ドキドキして胸が苦しい。
これは、どういうことなの?

「……い、池永さん、あの」

「これから、どうする?」

「えっ?」

「まだ、飲む?それとも、帰る?」

池永さんは「怜奈が決めていいよ」と微笑む。


……ダメだ。

わたし、酔っているのかも。ふわふわして、考えが纏まらない。
でも、これ以上、一緒に居たら池永さんに流されてしまう。

それだけは、わかるから。


「か、帰ります」

なんとか絞り出した言葉を池永さんは微笑みながら受け止める。

「家まで、送っていくよ」


タクシーの中では無言だった。だけど、手はまだ繋いだままで。
池永さんは、車窓から流れる街並みを見詰めている。

どうして、手を繋ぐの?
どうして、わたしに優しくしてくれるの?

思考が導き出す答えは、わたしに都合のいいものばかり。
しっかりしろ、わたし。池永さんには彼女がいるんだから。
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