いつか晴れた日に
涼のまっすぐな黒い瞳に見詰められると、心臓を掴まれたような気分になる。

そんな目で見ないでよ。
池永さんに流されそうになったけど、ちゃんと断ったんだから。

「怜奈ちゃんから男の人の匂いがする」

「……っ」

「誰と一緒だったの?」

「会社の人だよ。涼を待たせたのは悪かったと思うけど、誰と居たかなんて涼には関係ないでしょ?」

居た堪れなくて目を逸らすわたしに、涼は詰め寄るように一歩前に出た。

「怜奈ちゃんは、その人が好きなの?」

「べ、別にそんなんじゃ……」

「止めた方がいいよ」

「…………」

どうして、そんなことを言うの?

「その人は、怜奈ちゃんのこと、好きじゃないから」


確信を突かれたような気がした。

池永さんには彼女がいる。そんなことは言われなくてもわかってる。
でも、わたしを食事に誘ったり、心配してくれるのはどうして?

……それに、キスだって。

好きだからじゃないの?
期待しちゃ、ダメなの?

そりゃ、池永さんの彼女にとって、わたしは邪魔な存在なのかもしれない。
でも、人の気持ちは変わるものでしょ。

心の中で言い訳をしていると、わたしはあることに気が付いてしまった。


「涼は、どうして池永さんのこと知っているの?

もしかして、わたしに関わるすべての人を調べてるの?」



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