いつか晴れた日に
「安西さん」

「結婚するって、何ですか?」

有無を言わさず言葉を遮ると、池永さんは困ったように頭を掻いた。

こんな不誠実な人を一時でも憧れていた自分が赦せない。
もしかすると、亜紀はわたしだったのかもしれない。

遊びだから、きっと誰でもよかったんだ。
そう思うと、悔しくて悲しくて涙が溢れそうになる。

「これ以上亜紀を傷つけないでください」

「ちょっと、待ってよ」

口篭る池永さんを睨みながら、言葉を続ける。

「亜紀は池永さんのこと、本気なんです。少しでも亜紀のことを想う気持ちがあるのなら、亜紀と別れてください」

「……わかった。彼女には自分で話すから、安西さんは黙っててくれるかな?」

唇を噛んで頷いた。

いつか亜紀も本当のことを知る日が来るかもしれないけど。

こんな人のことなんて一日でも早く忘れて、傷が浅いうちに立ち直ってくれたらいい。

心からそう思っていた。


< 86 / 159 >

この作品をシェア

pagetop