1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
私の言葉に、場の空気が一気に凍り付きました。
広西さんは表情を険しくさせ、私を睨みつける。
「…心当たりは?」
「関口という警視です」
「…キミは、確かな証拠がないのにも関わらずそんなことを?」
「確かに、物的な情報はありません。…でも、おかしいと思いませんか?わた…蓬が保護された記録、学校に所属していた記録、晴野清牙さん、桃さんとの養子縁組の証拠が、あるはずの記録が無視されて誘拐、監禁の容疑だなんて。それらの証拠を消した人がいなければそんなこと出来ない」
視線は鋭くなるばかり。でも、広西さんは分かってるはずだ。
だって、15年前、お父さんが連れて来た私の案件を担当して、私とお父さんとお母さんの養子縁組をしたときに1番喜んでくれたんです。
それ以来も、私が勝手に広西さんのところに遊びに来て、学校に行っていたことも全部、全部知っているんです。
だから、この事件が誤認逮捕だって、全部でっち上げだって誰よりも知っているはずなんです。