Ri.Night Ⅲ
ムカつく!朝から腹立つ弟だっ!!
こうなったら貴兄にやっつけて貰うしかない。
「首洗って待ってろよ!!フンッ!」
「ベーっだ!」と優音にあっかんべーをして、ドスドスドスと大袈裟に足音を立てながら部屋を出る。
怒りが収まらないあたしは、地響きがしそうなぐらい大股で階段を上がった。
二階に到着し、目指すのは一番奥にある貴兄の部屋。
……ん?
近くに来て気が付いた。
ドア、開いてる?
「あ」
良い事思い付いたー。
忍び足で部屋へ入って貴兄を驚かせてやろう。
時々やる凛音ちゃんの可愛い悪戯。
ムフフ。貴兄待っててね。今から驚かせてあげるから。
忍び足でドアへと近付いていき、壁に背を向ける。
……どれどれ。
ドアの隙間からそろっと部屋の中を窺うと、貴兄はこっちに背を向けて電話をしていて、覗き見しているあたしには全く気付いていない。
……うーん。電話中かぁ。じゃあ無理だなぁ……。
そう思って、一歩足を踏み出した時だった。
「──嵐はNに入ったのか?」
ドアに背を向けたあたしの耳に飛び込んできたのは、思いもよらない言葉。
その言葉にピタリと足が止まる。
「……そうか」
エ、ヌ……?
今、Nって言ったよね?
Nは、鳳皇がある隣県。
……なんで嵐ちゃんがN県に行くの?
「──あぁ。慧がNに入ったら連絡を入れる。お前はそこで待機してろ。俺等も用事を済ませてから行く」
聞き間違いじゃなかったけど、やっぱり聞き間違いじゃなかったらしい。