Ri.Night Ⅲ

……なんで?なんで今更N県……?


なんで貴兄がN県に用事があるの?



「──アイツ等の動きは?」


「………っ、」


アイツ等?


それを聞いて思い当たるのは、N県に居る“彼等”。


ううん。貴兄に限ってそんな事ある訳ない。


そんな事………。



「……動き出したら電話しろ。いいか、奴等の動きは全て把握するんだ」



更に低くなったその声色はまるで“獅貴王”そのもので……。



「──奴等の羽根は獅鷹がもぎ取る」


「……っ、」


身体が、震えた。


それと同時に、脳内で“羽根”という言葉がグルグルと駆け巡る。



「……必ず、この手で」



……っ、貴兄……。



「凛音から離れなかった事、死ぬほど後悔させてやる」



貴兄の言葉に思わず両手で口元を押さえて後ろへと後ずさった。


……う、そだ。


嘘だ嘘だ嘘だ!!


貴兄が、

貴兄がN県になんて。



鳳皇の元になんて……行く訳がない!!




「………っ、」


感覚のない足を思いっきり抓り、無理矢理足に力を入れる。


思考の働かない脳内に浮かんだ言葉はただ一つ。



“此処に居てはいけない”


ただそれだけだった。



直ぐ様その場から立ち去り、自分の部屋へと飛び込む。


そして、扉を背にして、ズルズルとその場に崩れ落ちた。



「うぅ~……」


お尻がペタンとフローリングについた瞬間、身体中の力が一気に抜けて、両手で顔を覆う。
< 352 / 368 >

この作品をシェア

pagetop