Ri.Night Ⅲ
……なんで?なんで今更N県……?
なんで貴兄がN県に用事があるの?
「──アイツ等の動きは?」
「………っ、」
アイツ等?
それを聞いて思い当たるのは、N県に居る“彼等”。
ううん。貴兄に限ってそんな事ある訳ない。
そんな事………。
「……動き出したら電話しろ。いいか、奴等の動きは全て把握するんだ」
更に低くなったその声色はまるで“獅貴王”そのもので……。
「──奴等の羽根は獅鷹がもぎ取る」
「……っ、」
身体が、震えた。
それと同時に、脳内で“羽根”という言葉がグルグルと駆け巡る。
「……必ず、この手で」
……っ、貴兄……。
「凛音から離れなかった事、死ぬほど後悔させてやる」
貴兄の言葉に思わず両手で口元を押さえて後ろへと後ずさった。
……う、そだ。
嘘だ嘘だ嘘だ!!
貴兄が、
貴兄がN県になんて。
鳳皇の元になんて……行く訳がない!!
「………っ、」
感覚のない足を思いっきり抓り、無理矢理足に力を入れる。
思考の働かない脳内に浮かんだ言葉はただ一つ。
“此処に居てはいけない”
ただそれだけだった。
直ぐ様その場から立ち去り、自分の部屋へと飛び込む。
そして、扉を背にして、ズルズルとその場に崩れ落ちた。
「うぅ~……」
お尻がペタンとフローリングについた瞬間、身体中の力が一気に抜けて、両手で顔を覆う。