Ri.Night Ⅲ
少し汗ばんだ手のひらへと視線を落とし、グッと強く握り締める。
これまで幾度となく目にしてきた両チームの争い。
繰り返されるその抗争は全てあたしが関わっていた。
と言うよりも、このあたしが抗争の発端。
「……もう、無いと思っていたのに……」
静かな室内にポツンと響き渡る力無き声。
嵐の前の静けさとでも言うようにシーンと静まり返った室内は、まるであたしの思考を後押ししているかの様に感じた。
覚悟を決めなきゃいけない。
この抗争はあたしの為に起こるんだ。
あたしの為に鳳皇を潰そうとしている貴兄をあたしが止める。
止めて、話し合う。
その話し合いでどんな結果になるかは分からないけど、自分の想いを全て伝えなきゃ相手には伝わらない。
本当は今話し合うのが一番いいんだろう。
だけど、今の貴兄には何を言ってもきっと聞き入れてはくれない。
話し合いは取り敢えず獅鷹を止めてからの方がいいと思う。
止めてからまた考える。
そうと決まれば用意をしなければいけない。
動きやすい服装に着替えないと。
握り締めた拳をほどき、さっき動けなかったのがまるで嘘の様に軽やかに立ち上がった。
クローゼットを開け、Tシャツとショーパンを取り出す。
それに素早く着替えると、念の為いつでも出れる様に財布と携帯をポケットに入れておいた。
これで準備OK。
あとは心の準備だけだ。
大きく息を吸い、呼吸を整える。
尾行する事を悟られてはいけない。
それと、様子がおかしいとも思われてはいけない。
常に平常心。
それを肝に命じておかなければ。
よしっと気合いを入れ、部屋を出る。
早なる鼓動を抑えながら階段を下り、意を決してリビングのドアを開けた。