Ri.Night Ⅲ
それから特に問題なく会話が進み、食事は無事終了した。
普段通りの貴兄にすっかり安心しきっていたあたしは自分から「貴兄と優音はいつ出て行くの?」と問いかけていて。
その問いかけに対して貴兄は「連絡が来たら出るよ」とあっさり応えてくれた。
連絡が来たら、か……。
いつ来るか分からない連絡に次の行動を判断しかねる。
どうしたもんかと悩んでいると、
「お前、スッピンで行くのか?」
突然優音にそう問いかけられた。
「……あ」
優音に言われて初めて気が付いた。
そう言えばあたし、スッピンだったんだ。
貴兄の事で頭がいっぱいで、そんな事頭からすっ飛んでいた。
「うーん、どうしよう……」
真剣に悩み始めるあたし。
出来る事なら化粧はしたい。
だけど、化粧している間に二人が出て行ってしまったらそれこそ元も子もない。
今は化粧より断然尾行の方が優先だ。
「うーん……」
別にスッピンでもいいんだけど、それに気付いたら何故だか分かんないけどしたくなっちゃうんだよね。
「……よし、決めた!」
リビングでしよう!
それだったら二人が出て行くのもすぐ分かるし。
我ながらナイスアイデアだ。
そうと決まれば早速取り掛からなきゃ。
ブツブツ独り言を言っているあたしを見て不思議そうに首を傾げる優音をスルーし、リビングから飛び出す。
階段を駆け上がり、自分の部屋へと入るとテーブルの上にある化粧ポーチを手に取って即行部屋を出た。
リビングに戻ると鏡をテーブルの上に置き、化粧開始。