Ri.Night Ⅲ
スニーカーに足を通し、爪先でトントンと軽く地面を叩いて玄関のドアノブに手を掛ける。
そして、少しだけドアを開けて周囲を窺う。
もしかしたら貴兄と優音が玄関先で車を待ってるかもしれない。
まぁ、二人が居たところで、あたしが引っ越しの片付けをしに行く事は知られているのだから何とでも言って誤魔化せるのだけれど。
だけど、そんな心配はしなくて良かったみたいだ。
玄関を出ても二人の姿は見当たらなく、車が止まってそうな気配もしない。
車が家の前に止まったらエンジン音で分かるはず。
じゃあ二人は何処へ行ったんだろうか?
早速見失ってしまった?
焦りながらもとりあえず鍵を閉め、出てみる。
右を確認。左をかく……あ、いた。
左を振り向くと、数十メートル先に二人の後ろ姿を発見。
何故車を待たずに歩いているんだろうか。
少し疑問に思ったけど、それよりもラッキーだと思う気持ちの方が強かったから大して気にしなかった。
だって車に乗られていたら尾行出来なかったのだから。
これは幸先良いかも。
そんな所だけはおめでたい程プラス思考なあたし。
貴兄が鳳皇に向かっている事なんてすっかり頭から抜けていて、ただ尾行が続けれる事に喜んでいた。
軽やかな足取りで電柱から電柱へと移動し、二人の後ろを着いていく。