Ri.Night Ⅲ
工場の門らしき所に入って行く獅鷹の車。
姿が見えなくなった所であたしが乗っているタクシーも入っていく。
そのまま少し走ると、二人を乗せた車が工場の前に止まっているのが見えた。
気付かれてはいけないと思ったのか、だいぶ手前で止まってくれた運転手さん。
「おじさんありがとう」
「何があるのか知らないけど気をつけてね」
「うん、ありがとう」
お金を払って車から降りる。
運転手さんにもう一度お礼を言おうと身を屈めると、
「もし何かあったらそれにすぐ電話するんだよ?それと、この工場の反対側の道を少し下った所にもう一つ古びた工場がある。何かあったらそっちに逃げなさい」
そう言って紙切れを一枚手のひらに握らされた。
紙を開くと、そこには殴り書きされた九つの数字。
多分運転手さんの電話番号だ。
「おじさんありがとう!何かあった時は電話するね」
不安だらけの心に運転手さんの優しさが染みた。
何も聞かずに此処まで乗せてくれた運転手さんに何度も何度もお礼を言い、その場から走り出す。
早く行かなきゃ。
グッと強く拳を握り締めると、工場に向かって力一杯走った。