Ri.Night Ⅲ
念の為工場から少し離れた所から様子を窺う。
ぐるりと周辺を見回すけど人っ子一人見当たらない。
どうやら誰も居ない様だ。
貴兄達は何処へ行ったんだろう?
工場の中に入ったんだろうか。
っていうか、貴兄は此処で何をするつもりなんだろう。
電話では『用事がある』と言っていた。
何故か分からないけどその用事とやらが凄く気になる。
……一体何の用事なんだろう?
それを知る為にはこの工場の中へ入らなければいけない。
今までの経験上、こういう場所に入って良い事があった試しがなかった。
けど、入らなければ此処まで来た意味がない。
……という訳で。
仕方ない。入るしかないか。
覚悟を決めて潔く出て行く。
よしっ、行くか。
多分入り口は貴兄達が乗ってきた車の前だ。
「……誰も出て来ませんよーに」
そう呟きながら工場へと歩いていく。
工場の中はニオイも見た目も埃っぽく、長年使われていない事を表していた。
天井は高く、広さは学校の体育館程。
ひび割れた窓からは若干光が射し込む程度で電気は当然ついてなく、中は薄暗かった。
見た所何の変哲も無い普通の工場で、今は使われていない筈なのに何に使うのか分からない機械がいくつも並んでいる。
意を決してそろりと中へ足を踏み入れてみると、より一層強くなった埃のニオイ。
咳き込みそうになり、慌てて両手で鼻と口を塞ぐ。
危ない危ない。
ここで咳き込んだら全てが台無しになってしまう。
折角ここまで来れたのだから台無しになるのだけは避けたい。