Ri.Night Ⅲ
機械に身を隠しながら慎重に進んでいくと、数メートル進んだ所で妙な異変を感じた。
と言うか聞こえたんだ。人の声らしきものが。
瞬時に警戒を強め、その声の方へ歩みを進める。
「──あぁ。その後どうだ?上手くいってるのか?」
「………っ、」
近付いて解った声の主。
それはあたしが追ってきた貴兄の声だった。
あたしの身長より遥かに高い機械の向こう側。
距離で言えば数メートル程の距離。
そこに貴兄がいる。
それはスリル以外の何者でもなかった。
いつバレてもおかしくないこの状況。
必然的に手汗が滲む。
「──あぁ。俺等はこのまま奥へ行く。例の件、頼んだぞ」
このまま奥へ行く?例の件?
余程周囲を警戒しているのか、その声音はこの僅かな距離でも注意深く聞かなければいけない程小さい。
二手に分かれていなければ優音は貴兄の傍に居る筈なのに、優音の声は欠片も耳に入ってこない。
という事は、会話の間隔からみて貴兄は電話をしてるんだと思う。