【短編】君だけを愛したい


不意に見えたのは、左耳のうしろで結い上げられた金に近い茶色の長い髪。


まさしく、1日振りに見る崎村の後ろ姿。


でも―――
その横には、男がいたんだ……



「……どうした?真希ちゃんでもいたか?」



ただただ見つめるしか出来ないオレに、笑いを噛み殺しながら話す和樹が横から階下を覗き込んできた。



「やっぱり、真希ちゃんかよ!!
……って、あれ?男と一緒?もう、次の男……とか?」



笑いの消えた何とも言えない表情でオレを見る和樹に、文句のひとつも言えないくらい


―――ショックを受けてるオレがいた。


何だよ、あれ?


もう、新しい男ってか?


オレに向けていたのと変わらない笑顔を、隣の男に向ける崎村に胸は痛んで。


怒るとか悲しいとかいう感情が沸き上がる依然に、

オレは何も考えられず、動くことさえ出来なかった。


< 28 / 41 >

この作品をシェア

pagetop