【短編】君だけを愛したい
不意に見えたのは、左耳のうしろで結い上げられた金に近い茶色の長い髪。
まさしく、1日振りに見る崎村の後ろ姿。
でも―――
その横には、男がいたんだ……
「……どうした?真希ちゃんでもいたか?」
ただただ見つめるしか出来ないオレに、笑いを噛み殺しながら話す和樹が横から階下を覗き込んできた。
「やっぱり、真希ちゃんかよ!!
……って、あれ?男と一緒?もう、次の男……とか?」
笑いの消えた何とも言えない表情でオレを見る和樹に、文句のひとつも言えないくらい
―――ショックを受けてるオレがいた。
何だよ、あれ?
もう、新しい男ってか?
オレに向けていたのと変わらない笑顔を、隣の男に向ける崎村に胸は痛んで。
怒るとか悲しいとかいう感情が沸き上がる依然に、
オレは何も考えられず、動くことさえ出来なかった。