【短編】君だけを愛したい


ようやく手を離したのは、屋上に着いた時で。


早足で歩くオレに驚きながらも駆け足で着いてきた崎村は、息を乱し肩で呼吸していた。


そんな崎村を正面に見据えたまま、オレは屋上の柵にもたれていた。


―――オレ、何やってんだ?


突発的な行動とはいえ、オレらしくない……


他人に冷たいイメージを持たれるくらい、大抵のことには無関心なのに。


オレにオレらしくないことさせてるのが崎村だって、アイツ……気付いてんのか?



「さっきの……」


「……え?」


「さっきの男が、好きなのか?」



イライラもムカムカも抑え込むようにゴクリと息を飲み込んでから、口を開いた。


ドクドクと騒がしい、心臓の音しか聞こえない……


その理由は、早足で屋上まで来たから……それだけだと思いたい。



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