sinner
ぼくのせいにすればいいと言った提案には頷かず、自らが選んだのだと勇ましく、彼女はぼくの腕の中に堕ちてきた。その威勢にもこの上なく想いが募った。
仕返し腹いせ目には目を。それでもいいじゃないか。辛く悲しい瞬間に、誰かに縋るのだって悪いことじゃない。
どうかどうか、ぼくで僅かでも癒されてくれるなら、使ってほしい。
利用してほしいんだ。ぼくを。
駄目なことなんてあるものか。
それらはなんて綺麗な誘いだろうか……。
今この時だけなんて嫌だ。
この機会に、どうかどうか、ぼくがどれだけ想っているかを感じ、絆され、馬鹿な男なんてこっちから捨て、ぼくとのこれからを考えてほしい。
そうしたいと、その脳内によぎってほしい。
綺麗を剥いだ、本心だ。
好きなんだ。
好きで好きで。
その身体に僅かでも触れてしまってから、ぼくは、堪らなくなった。もっとと欲して貪りつくした。
……なんだよ……これじゃあ、あの男と変わらない。本能が告げる、ただの肉欲だけみたいだ。
悔しい。悔しい悔しい。そんなんじゃないはずなのに。
沸き上がる感情がぼくを追い込み、もう腹の中はメスで掻き混ぜられたように熱くて苦しくて。
「大丈夫だよ――うん、大丈夫」
けれど、堕ちてきてくれた彼女の背中を宥めながら、ぼくの身体にに回してくれる細い腕があってくれることに救われる。
救済が、儚い彼女からもたらされる。
「……なんで、あなたが泣きそうなんですか?」
「目の前に、泣きたいだろうに泣かない可愛い子がいるから。ぼくが代わりに」
「泣きたくなんてありません。慰めてもらってるから、本当に涙なんて出ないの」
「じゃあ、もっと――ね?」
純粋な想いが確かにあるのだと刻みつけたくて、ひたすらに彼女を抱いた。