sinner
今、この時だけなんだと、悔しいけど伝わってきた。言葉らしい言葉など発せられないように追い込んだのに、なんでこんなに解ってしまうのか……。
身体を重ねて、彼女の心を前よりもう少し理解する。
キスの息継ぎがどうやら上手くないらしい。ああ、可愛いな。与えてあげた合間の呼吸がやけに色っぽくて、もういっそこのまま続けて一緒に酸素不足に陥っても構わないと思った。
もう会えなくなってしまうのかと、想像する。
彼女はそのうち、お隣さんじゃなくなってしまうかもしれない。その糸さえ断たれてしまうなんて……行き先とか、残していってくれないんだろうな。
形の良い後頭部から辿って背中や腰の窪み、指を滑らせると身震いしてしまう。上がった顎のライン、見下ろした汗を滲ませる可愛いおでこや、気持ちいいのを隠せない瞳に見蕩れ、華奢だけれど柔らかいところだらけの身体に溺れ揺らし続けた。
好きだな。最初はキツそうで何とも思わなかった外見も、砕けてくれながらもいつまでも礼儀正しいところも、強がりで結ばれた唇も。今日知った、彼女がぼくに差し出してくれた全ても。
何度も何度も彼女を求める。今はベッドとぼくに挟まれて、もう精魂尽きたのか虚ろな彼女が、ぼくに向かって最後の力で手を伸ばす。さらさらしていて柔らかそうだと、ここに来て最初に言っていたぼくの髪を三本の指で梳く。限界だと、ずり下がっていくそれを慌てて捕まえて、その手のひらに口づけた。
心の中で、ずっと、彼女への愛情を囁いていた。