sinner
――……
その日はミスの多い一日だった。
彼女を、もう店の奥から見つめることしか叶わなくなってしまったことが想像以上にダメージだと思い知り、そしてそれが積み重なってきたのかもしれない。
他の変化は自分にはなく、思い当たる節もない。……なんて、情けない話だけど。
新人がやらかしそうなものから総なめ、陳腐なミスをことごとくやらかしてしまい、もう今日は帰ったほうがいいんじゃないかと心配され始めた頃、そのお言葉に甘えることにした。
「そうでなくても店長。最近お休みとってなかったですよね」
「そう?」
「そうですっ」
ひとつ残る配達も取り上げられ、代わってくれた従業員の子が帰ってくれば、今日は早上がりさせてもらうこととなった。
十七時も過ぎた今、来店客は殆どいなくなる。閉店後にするはずだった事務作業は捗り捗り、途端に手持ち無沙汰になってしまう。いつもならやるべきことなどすぐに浮かんでくるのに、今日はそれもままならない。人のいない店内で少しの間ぼうっと立ち尽くし、ようやくひとつ仕事を見つけた。
カスミ草が入っていた容器が空になっていたのだった。少し前にいらっしゃった男性客が全部購入していったために。決断前に太陽の下で色を見たいということで店先に出したままだったのを思い出す。片付けなければ。
中に水が入った筒状の容器は重量があるから、ぼくがやっておいたほうがいいと、ミスの多い今日、それを運ぶのは慎重にとしていたのに……ミスの多い今日、ぼくは店先の何もないところで躓き、中身をこぼしてしまった。