sinner
今日はぼくにとって特別な日で、アレンジはその為に作っている。
どうしても今日、これを贈りたい人がいる。勿論、それは愛しい彼女へだ。作業の邪魔なだけの女性客にでは決してない。当然だ。
閉店時間に約束をした彼女が店にやって来るのはもうすぐだろう。それまでになんとか迷惑な女性客を帰してしまいたかったけど、それは無謀な試みとなる。
営業中は開放されている店の入り口のほうから、細めのヒールでコンクリートを踏む音が響き、それはやがて店内へと。その姿を確認するとやはり彼女で、時計を確認すると約束の時間五分前だった。
ぼくは途端に心晴れやかになり、口元は弧を描いて緩む。
「い……」
「ねえ、もっと紫とか赤が多い花束がいいわ。あたしそんなのが好きっ。そうやって作って?」
いらっしゃいませと迎えるぼくと、いつも必ず最初に挨拶をしてくれる彼女からの声を遮るように、女性客は言い放った。
「あたしへのプレゼントでしょう? だったらいいじゃない」
「……」
「今から行くレストラン、花束とか預かってくれるかしら。楽しみね」
女性客は、そうしてまるで計ったように、彼女が来た途端ぼくの腕に自分のそれを絡めてきた。
「早く終わらせて、お食事いきましょ」
鋏を持っていたものだから反射的に避けきれなかった。直ぐ様腕から逃れ、勘違いされるような部分ばかり見られてしまった彼女のほうを向く。
すると、彼女はとても、居たたまれなく、所在なく、身体を小さくさせていた。
きつく、一瞬眉を寄せたのをぼくは見逃さなかった。
そうして最後に、彼女は傷ついた顔をした。