PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
高校も同じところを選んだといっても、わたしは進学科で、寧々ちゃんと尾張くんは普通科だ。
クラスの雰囲気は全然違うみたい。
学校まで歩く時間は、情報交換の貴重なチャンスだ。
「ねえ、お嬢。瑪都流《バァトル》って知ってる?」
「バァトル? ううん、知らない」
「襄陽学園が拠点の暴走族なんだ」
「暴走族? 不良グループってこと?」
「ただのグループじゃないんだよ。幹部の人たちはみんなバイクに乗れて、ケンカがめちゃくちゃ強いんだ。
隣町にガラの悪い連中がいるでしょ? あいつらとまともに戦えるのは、この町では瑪都流だけなんだよ。カッコいいの!」
「そ、そう。でも、暴走族って……」
「あたしとタカ、瑪都流に入ろうかなって言ってるの。あ、もちろん順にぃも一緒に」
寧々ちゃんはスマホで瑪都流を検索してみせた。
表示された検索結果に、わたしはまた戸惑う。
瑪都流という、いかめしいグループ名に添えられた肩書は、暴走族ではなかった。
「ロックバンド?」
「そう。幹部の人たちがバンド組んでて、そのバンド名が瑪都流」