PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
学校が近付くと、同じ制服の人たちが増えてくる。
徒歩通学だったり、駅のほうからの流れだったり。
広い広い敷地を持つ襄陽学園の、ぐるりと囲う塀の一角が見えたときだった。
前のほうに、見付けた。
「伊呂波《いろは》先輩!」
スラリと背が高くて、栗色の髪で、後ろ姿だけど間違いない。
伊呂波文徳《ふみのり》先輩だ。
寧々ちゃんがわたしを肘でつついた。
「お嬢、挨拶しに行っちゃえば?」
「ええっ?」
「そんなにビビらないの」
「だ、だって」
寧々ちゃんにニヤニヤされて、わたしは顔が熱くなってしまう。
「会えますようにって願掛けしてんでしょ?」