PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
寧々ちゃんがわたしのカバンを指差した。
持ち手には、幸運のお守りがぶら下げてある。
三日月形の銀製のプレート。
最近、女子の間で流行りの「恋に効く天体アミュレット」シリーズだ。
わたしは三日月のモチーフを選んで身に付けている。
後ろから聞こえていた足音が、わたしたちを追い抜いていく。
女子が二人、パタパタ走って行った。
「文徳センパーイ!」
「おはようございまーす!」
二人は伊呂波先輩に声をかける。
先輩が足を止めて振り返った。いつもの笑顔。
先輩に追い付いた女子二人は、すごく嬉しそうに先輩と話し始める。
わたしは心を決めた。
「よしっ、わたしも行ってみる!」