あなたはわるい人ですか?
部屋についてキスをした。久瀬さんのキスは意外と優しくなかった。ベッドになだれこんで、そして、まさぐる手から、切なそうな吐息から、見つめる瞳から、何か読み取れやしないかと思ったけど、駄目で。わかりそうでわからない。確かなことは、何も。

初めて見る久瀬さんの顔に触れながら、大事なことは直接訊かなきゃわかんないんだなぁって、そんな当たり前のことを思っていた。









行為が終わったあと、久瀬さんはベッドに入りニコニコとこちらに笑顔を向けてくる。



「……ご機嫌ですね」

「え?だって最高の気分だよ今」



そう言って私の髪を梳く。つい、真相がどうかなんて放り出して、甘えてしまいたくなるような空気。だけど今だけは、流されてちゃいけない。



「久瀬さん、私」



気になっていることがあります、と正直に打ち明けると、久瀬さんは目を丸くしてなぁに?と訊き返してきた。こちらのトーンに合わせてか、甘かった空気はおさえられて緊張感が生まれる。



「久瀬さんは悪い人ですか?」

「…………」





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