怖い短編集
私はものすごい形相で、

私を責める未来ちゃんの

お母さんに、

泣きながらこう言った。






「未来ちゃんが……、

未来ちゃんが……、

海で泳ごうって、

私に言ってきて

私は危ないから止めようって

言ったんだけれども、

未来ちゃんが、

どうしてもっていうから……」






私は声を上げて泣きながら、

必死になって、

嘘のいいわけをしていた。






私は心の中で、

不安と恐怖に怯えていたが、

それでも私の冷静な部分が

この最悪な状況を

どんな嘘をついてでも

切り抜けなくてはならないと

思っていた。






私や

未来ちゃんのお母さんを含め、

まだそのことを誰も

口にしていなかったが、

私たちはあのとき、

一つの共通認識を

持っていたと思う。






未来ちゃんはもう、

生きた姿で

私たちの前には現れない。
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