怖い短編集
〈 お母さん、その子の名前は、

未来ちゃんだよ 〉






恵梨奈が私に、

新しい友だちの名前を

教えてくれたときのことを

私は思った。






私はあのとき、

恵梨奈の言葉を

少しも気に止めなかったけど、

恵梨奈が言っていた

未来ちゃんとは、

もしかして、25年前に

海で溺れて死んでしまった

北村未来ちゃんのことでは

ないだろうか?






普通ではあり得ない

そんな考えが

私の頭の中に浮かんで

私は思わず身震いした。






もしも私のこの想像が、

正しいとするならば、

恵梨奈の身に起きる出来事は、

悲惨なものに違いない。






〈 お母さん、私、

海に行ってみたいの 〉






私は、恵梨奈がそう言った言葉を

思い出して、

恵梨奈がいる場所は

海しかないと確信した。






私は激しい雨が降る中、

懸命に砂利道を走り出した。






早くしなければ、

恵梨奈の身に不吉な何かが

起きるような気がして

しかたがなかった。
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