王子な秘書とシンデレラな御曹司

『雅さん……雅さん……』

優しい声がする。

とってもとっても優しい声
穏やかで柔らかくて心地よい。

『雅さん』
カチャリとシートベルトが外されて
身体が少し解放された。

なんて気持ちいいのだろう
もう朝まで寝たい。
動きたくない。泊まらせて。

『困ったなぁ』
そう言いながら笑ってる気配がするよ。

ここどこだっけ?
えーっと頭が回らない。
完璧寝ぼけてるね私。

意識はあるけど目が開かないです。

『男の車で寝ちゃダメでしょう』

車……だっけ?
だね。そうだね
シートベルト外してくれたんだもん。
あ、華子様とのデートだっけ。

『オオカミに食べられますよ』

オオカミ?
副社長はここで私を捨てる気か?
野良犬のエサになれと?
こんな女はエサにもなりませんよ。私は王子だから大丈夫。

頬にそっと温かい手を感じた。

あったかい。
幸せと愛情に包まれてる感触。
余計に目が開かないでしょ。

『雅さん』
甘い甘い声
とろけるような甘い声で副社長は私の名前を呼び

そっと彼の吐息を肌で感じ

柔らかい唇が私の唇に重なる。

キス?
キスした?
キス……なんて……目を開けたいけど

ごめんなさい

眠い。




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