王子な秘書とシンデレラな御曹司
きっとスライムも斬れないだろう

「えーっと、まずは部屋に行きたいんです」
次から次へと落ちる書類を一緒に拾い
私は困っている彼と周りを見渡す。

助けて案内してあげたいけど
私も実は何も知らないし
何も聞いてない。

「秘書課に行って聞いてきますね。ちょっと待ってて下さい」
すがる目をした彼を台車ごとそこに置き
私は秘書が机を置く部屋へとヒールで走り出す。

『誰かお医者様はいませんか?』
飛行中でのキャビンアテンダント気分。
御気分の悪くなった客はもちろん白衣の御曹司。
先行き不安だ。

秘書課に行く前に
ひとりの若く綺麗な女性にすれ違ったので
これこれこーゆーワケでと理由を話すと

「はい。お話は専務から聞いております」と、優雅に微笑む。

聞いてますだと?
御曹司が自ら台車を運び
部屋がわからずウロウロしてるんですけど。

「ご案内します」

「あ、ちょっと待って。荷物が多いので手伝ってもらえますか?」

「いえ、私達は承っておりません」
ロボット口調でそう言われてしまった。

え?何て言った?

「ご案内だけいたします」
彼女はサラリと私の先に立ち動き出す。

彼女人間?秘書課の人だよね。
ロボット?
一階の受付にいるロボットのペッパー君の方が百倍優しいよ。

驚きながら彼女の後ろに続き

案内された部屋にまた驚く。



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