王子な秘書とシンデレラな御曹司

何かがちょっと動いている。
気のせいかもしれないけれど、あまりいい気がしない。

お気楽なうちの副社長も少し焦っている気がする。

華子様は最後の砦
うちで必ずゲットしなければいけない……よね。
そして後継者になる。
その為に私がいる。

でも……。

静かに席を立ち
副社長の様子を見ると熟睡中。
おぉメガネをかけたままかい。フレームがゆがむよ。
私は手を伸ばして副社長のメガネを外して机の上に置く。

柔らかそうな髪。
まつげが長い。
肌が綺麗だね。
鼻筋がスッと通っていて王子様顔。

寝顔が可愛い。

「副社長」
小さく言ってみるけれど返事はない。
幸せそうな寝息だけ。

「風邪ひきますよ」

無防備な姿にきゅんとなり
秘めて苦しい恋心が動き出す。

「……好きです」

私は目を閉じ
そっと彼の唇にキスをする。

ほら起きなさい。
王子のキスで姫は起きるんだよ。

副社長は眠りから覚めず
私は小さく溜め息をする。

副社長の王子は私じゃないんだね、きっと。

小さなロッカーから自分のブランケットを探し、副社長の身体にそっとかけた。

本当だね華子様。
人を好きになるって……切ないね。

ちょっとだけ涙が出てしまう。
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