王子な秘書とシンデレラな御曹司

時間前にシステム部の小堺さんがやって来た。

「副社長。イエメン産のホワイトキャロルが手に入りました」

「何ですって!」
副社長の目の色が変わる。

「通販なんですけど……あ……竹下さん、いらっしゃいましたか」

気まずそうに小柄な身体を余計小さくし
小堺さんは苦笑い。

秘書だから居ますよ。
コーヒー話ですか?
あぁそうですか
私はお邪魔ですね。

「ちょっと出てきます」

仕事せーよ!
心でそう言いながら部屋を出ると、また何人かすれ違いざま部屋に人が入る。

イエメン産のホワイトなんちゃらの味見ですね。

平和だなぁ。
それが副社長のストレス解消かも。

とぼとぼと重役サロンを歩き
大きな窓から外を見ると
灰色の空から白い雪が降ってきた。

今年一番の寒さと思えば
やっぱり雪。

内緒で重ねた唇を思い出し
そっと自分の唇を触れる。

あそこで目覚めてほしかったな。

私は窓に額をコツンと当てて

ビル街に舞う雪をジッと見ていた。
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