王子な秘書とシンデレラな御曹司

12月24日。

重役フロアの秘書課の女性たちは輝いている。
顔も髪もキラキラしてる。
私はごく普通の黒っぽいスーツを着て、髪もひとつ後ろにまとめ平常業務。

ただの木曜日
明日は友達と騒ぐからいいんだもん。
コンビニでケーキ買うもん
敗北感が消えず悔しい。

会社全体が浮かれてる気がします。

無視無視。
私には関係ないです。

「おはようございます」

「雅さん。おはようございます。今日の予定ですが……」

朝のコーヒーを用意しながら副社長が話しかける。
副社長も平常業務。

ごくごく普通の木曜日。
淡々と仕事をこなし
一日の仕事が終わろうとしていた。

さて
どこのコンビニでケーキを買おうかと帰り道を考えていると

「雅さん」

「はい」

「今日は忘年会をします」

「え?」

忘年会だと?
聞き間違い?この12月24日に忘年会?
それでも副社長の顔は真剣だった。

「僕と雅さんで忘年会をします。裏口に車を回してます佐々木さんが運転手です。他の車に乗らないように」

「忘年会って何ですかそれ?今日はクリスマスイブですよ」

「高岡さんに話を聞きました」
副社長はテキパキと帰り支度をしながら怖い顔をする。

健と話を?
一瞬にして顔面蒼白の私。

「高岡さんとのクリスマスの夜。食事をプレゼントしようとして話をすると……高岡さん言ってましたよ。雅さんにフラれたと」

怖い。語尾に力が入ってる。
何か怒ってる副社長。

「別れたなら別れたって言って下さい。まったくもう!」

どうして私が怒られるの?

「でもそれは、あの、副社長には関係な……」

「時間がありません。早く行って下さい!」

「はいっ!」

へタレ副社長。
怒鳴ると妙に迫力がある。
私は逃げるように部屋を出て、そのまま副社長の命令通りに裏口から出て重役専用の車に乗り込んだ。

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