王子な秘書とシンデレラな御曹司
「お洋服を脱いでガウンを着て下さい。ヘアメイクとネイルを終わらせてからドレスにしましょう」
いつも大人しくニコニコ笑顔の清香さんなのに、今日は迫力を感じる。
「覚悟決めて下さい」
ギロリとにらまれてしまった。怖い。
私はうなずき
もうどうにでもなれと
まな板の上の鯉状態。
清香さんの指示が飛び
髪は巻かれてお嬢様スタイル。
メイクはピンクが貴重
ネイルもピンク。
似合わないとわかってるから自分で鏡を見る気になれない。
イスの上での作業が終わってドレスにお着替え
用意されていたドレスは
私がずっと見ていて気になっていたドレス。
シルエットの綺麗なジャガード生地で上品なサーモンピンクのパーティドレス。
憧れていた可愛らしいドレス。
「ドレスは啓司様が選びました」
清香さんがそう言ってハンガーから下ろす。
副社長が選んでくれた。
「雅さん。早く着て下さい」
清香さんに言われて袖を通して鏡を見つめる。
「雅さん綺麗。とっても可愛らしいです」
清香さんの声が遠く聞こえた。
鏡の中では知らない女性が立っている。
艶のある長い髪は綺麗に巻かれて
淡いピンクのメイクが上品に可愛らしく
目がぱっちりで唇がプルプルしていて
サーモンピンクのドレスがとっても良く似合う
背は高いけど
可愛らしいお嬢様。
私?これ……私なの?