王子な秘書とシンデレラな御曹司

レストランには大きなクリスマスツリーが飾られていて、思わず声を上げて感動する私。

生演奏のピアノがとても心地良く
広いフロアを案内されてテーブルに到着。
宝石のような夜景がキラキラ輝く窓際の席。

お客様はほどんど外人さん。
テーブルの上にはナイフとフォークがズラリと並ぶ。
緊張しそう。

夜景を見る振りをして
そっとガラス越しに副社長を見つめる。
ワインを選ぶ横顔がとても上品で端整だった。

今日はまばたきが多い。
私の為にコンタクトを入れてくれたと思うと、胸がきゅんとなる。

そして私は別人のよう。
総務の皆に見つかったら笑われそうだな。
自虐的に苦笑いをしてると

「似合いますよ」って見透かすように言われてしまった。

恥ずかしい。

「副社長も素敵です」
負けずに言うと

「今夜はそれを止めましょう。僕の名前で呼んで下さい」

「でもそれは」

「今夜だけ」

クリスマスの特別の夜だから?

私は静かに息を吸い
思い切って「啓司さん」と彼の名を呼ぶと

「はい」って優しく笑って返事をしてくれた。

ただそれだけで
もう今夜は満足です。

「乾杯しましょう」

「クリスマスにですか?」

「いえ。忘年会です」

コンタクトにしても中味は変わってない。
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