王子な秘書とシンデレラな御曹司

一流のホテルで
一流の食事をして
ピアノが奏でる音楽を聞きながら
遠くで輝く夜景を見下ろし
ピンクのドレスを着て
大好きな人と踊る。

夢かもしれない。

踊れないって言いながら
副社長は私の背中に手を当てて
優しく無理なくリードする。

踊れるじゃん。
そうだよねお坊ちゃまなんだよね。
最低ラインの御曹司の仕草はクリアしてるのかな。

「副社長」

「今度呼んだら罰ゲームですよ」
マジで怒るから怖いわ。
副社長は片手を私の背に当て
もう一方の片手で私の頬をぷにーっと引っ張った。

「すいません」

「呼び直して」

「はい?」

「呼び直し!」

「啓司さん」

「なんですか?」
今度は天使の微笑み。面倒なヤツ。

「手袋嬉しかったです」
可愛らしいピンクの手袋。

「私、ピンクが似合わないキャラなので余計嬉しかったというのか、何て言えばいいのか……」

女の子らしいプレゼントが嬉しくて
気持ちを伝えたいのだけれど
上手く言葉が見つからない。

顔を上げると
副社長が不思議な顔で私を見つめていた。





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