王子な秘書とシンデレラな御曹司
広報部に行き
部長に書類を渡すと「雅」って名前を呼ばれた。
振り向くとスーツが似合う爽やか王子。
今日もいい男だよ。高岡 健。
「どうした?俺に会いに来た?」
「もっといい男でお金持ちの部長に会いに来た」
笑いながら広報部の端っこで話をしていたら
「高岡さ……あ……お話し中ですね、すいません」と、後ろから女の子が声をかける。
ショートカットの髪が良く似合う
体育会系の女の子。
私が健の陰になっていて見えなかったのか。
「ごめんなさい。私はすぐ帰ります。ほら健、仕事しなさい」
帰ろうとすると
「大丈夫です。竹下 雅さんですよね、初めまして高岡さんの後輩の斉藤です。わぁやっぱり素敵。カッコいいです雅王子」
そんなキラキラした目で見ないでおくれ。
クリスマスにおひとり様で、カレーをチンして食べる情けない女なんだから
「俺とどっちカッコいい?」
健が聞くと
「雅さんです」ってきっぱり答えて健に軽く頭を叩かれる。
可愛いのぅ。100円あげようか。
「ゆっくりしていって下さい」
斉藤さんは深く頭を下げてから、元気に自分の席に戻って行った。
「可愛いね」
さりげなく健に言うと
「まぁね」って返事が返る。
あれ?あれれ?
実は女性に厳しい健がそんな発言をするなんて、ニヤニヤしながら私が顔を覗いていると
「カン違いすんなよ。今はただの後輩」
「今は?」
「今は……だな。お前に似ていて根性あるんだ。仕事のセンスもいいし俺の下で鍛えたいって初めて思った女の子」
穏やかに笑って私を見つめる。
今はそんな関係だけど、この先どうなるかわからない。
そんな様子が健の言葉と優しい表情でわかってしまう。
幸せになって欲しいって気持ちが9割
逃がした魚は大きかったって気持ちが1割。
「頑張れよ」って健の背中を強く叩き、私は振り返らずに広報部を出た。
みんな少しずつ進んでる。
自分だけ
立ち止まっている気がする。