王子な秘書とシンデレラな御曹司
仕事始めの日は忙しかった。
普通の会議と重役会議があり
その合間にお客さんが沢山やってきて
副社長のコーヒーを飲めたのは朝の1杯だけという、私より本人がカフェイン不足でイラついていた。
夜の6時半になり
少し落ち着き残務整理。
今日のお昼はコンビニのおにぎり食べて終わり。お腹空いた。
「明日もこんなに忙しい?」
もう退社だというのに
今からガリガリと豆を挽く副社長。
どうしても飲みたいのだな。
「今日よりは大丈夫かと。でも明日は経済界の方々との新年会が午後からあります」
私が言うと大きなタメ息。
「雅さん」
「はい」
「お腹痛いから欠席って言っ……」
「ダメです!」
いいかげんにしろ小学生。
「うちの会社の新年会っていつでしたっけ?」
「今月の15日です」
新人から重役まで
全ての社員出席の新年会。
大きなホテルの会場で、社長と重役のお話を聞きながらお食事。
何より恐ろしいのはテーブルの席順がくじ引きというリアル。
市橋理香や秘書課の女子の隣にならないよう祈ろう。
「あ、華子様と約束あったんだ」
ガリガリする手を止めながら副社長が大きな声を出す。
「そうなんですか?着替えを持ってくるの忘れましたがスーツで大丈夫な場所でしょうか?」
いつものように私と清香さん付だよね。
今日はヘトヘトだけど、これも仕事だ。
覚悟を決めて付き合おう。
ドレスのお礼を直接言いたかったからよかった。
「雅さん」
「はい」
「雅さんはいいです」
さりげなく
副社長は私にそう言った。