王子な秘書とシンデレラな御曹司
緊張が一気に溶けた気がした。
「とんでもないです。副社長はとても努力家です。研究者から畑違いの場所に来られてご苦労もあったと思いますが、とっても頑張ってます。みんなから好かれてますし会社の為に頑張ってます。立派な方です」
心からの私の言葉だけど
本人には聞かせたくない。
きっと聞いたら天狗になるだろう。
彼はほめて伸びるタイプではなく、叱って伸びるタイプだから。
甘やかさないぞ!
社長は穏やかな顔をして黙って私の話を聞いていた。
今日はこの言葉を伝えただけで
来た意味があるかもね。
もっと色々と副社長について、社長からのお話を聞きたいと思ったけど、次から次へと社長の元にご挨拶に来る人がいてゆっくり話すタイミングもなく、そのうち新年会が始まる。
社長の今年のご挨拶
死神常務も海外から新年会の為に一時戻り、ステージの上で挨拶をし
腹黒タヌキな田崎専務の乾杯。
そして宴会。
美味しそうな食事が運ばれるけど
あまり箸が進まない。
ちょっとやっぱり不調だな。
「雅さん」
背中から声が聞こえて見上げると副社長が立っていた。
副社長とはずーっと離れた席で、頭しか見えなかった。
ちょっと怖い顔で私を見つめてから「社長。一生のお願いがあります」と、自分の父親にそう言った。
社長は軽く顔を上げて副社長の言葉を待つと
副社長は「席を代わって下さい」堂々とそう言った。
いや席を代われって
そしてそれが一生のお願いって
いいのかそんな安いお願いを一生のお願いにして!