王子な秘書とシンデレラな御曹司

あ……病院なら
内科じゃないかもしれない

「運転手さんすいません……あの、内科じゃなくて近くの産婦人科をお願いします」
声を絞り出してそう言うと「わかりました」って運転手さんはナビを確認しながら方向転換。

これでいい。
これで安心って深呼吸していると
肩をつかんでいる手に力が込められた。

「雅さん……それって……」

「あ……」

「子供デキたの?僕の子?あの時の子?」
彼のこんな真剣な顔は初めて見る。

「どうして言わないんだ?」

「だって……言えません」

「バカな。こんな大切な事を言わないなんて。運転手さん遅い!」

運転手さんに罪はないけど
ガンガン攻める副社長。

いつものへタレ具合はどこに行った。

「啓司さんごめんなさい」
彼の名を呼び、また私はメソメソ。

「迷惑かけてごめんなさい。でも産みたい」

「当たり前でしょう!」

タクシーの中で大騒ぎしていると
個人病院前に到着。
彼は支払いをして車から降りると、また私をお姫様だっこ。

「大丈夫。僕が守る。雅さんとお腹の赤ちゃんを必ず守る」

「啓司さん」

その胸の中で目を閉じる。

あぁごめんなさい。
お腹の中の赤ちゃんごめんなさい。
どうしよう
どうしようって迷っていたから
赤ちゃんも困っていたんだよね。

ごめんね
ダメなお母さんだね。
私の気持ちがしっかりしてないから
赤ちゃんも困って体調悪くなったんだよね。

ごめんなさい。
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