王子な秘書とシンデレラな御曹司
ラスボスとの闘い ①

点滴が終わり
ずっと付いていてくれた副社長と一緒に、何度も看護師さんに頭を下げて病院を出る。

あー恥ずかしかった。

「会場から雅さんのコートとバッグを運んでもらいました」

何から何まですいません。
携帯を覗くと、同期グループや友達から未読文がいっぱい
みんなに心配かけてしまった。
あとからお返事します。
ただの生理痛でした
元気です。

「大丈夫ですか?すぐタクシー拾いますね」

「何から何まですいません」

今日は大人しく反省しよう

タクシーの後部座席で『心配だから家まで送ってそのまま泊まる』と真顔で言われ、それだけは勘弁と涙目で遠慮する私。

「何かあったらすぐ連絡するように」

別れ際の顔も怖かった。

優しい顔って怒ると怖いもんだな。
感心しながら部屋に戻ってベッドに倒れる。

妊娠してなかったんだね。

安心したけど
なぜかちょっと寂しい気がする。

倒れる寸前
ステージから降りてきて
私を抱きしめてくれた副社長。

あの時の真剣な表情が、目に焼き付いて離れない。

やっぱり

大好き。





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