王子な秘書とシンデレラな御曹司

月曜日から
また仕事は忙しく
日々の流れが早く感じる。

「雅さん」

「はい」

「来月は生理休暇取って下さいね」

堂々とそんな言葉を出せるとは。
セクハラですぞ。男性に言われたくないわ。
でも
自分がやらかした事を考えると何も言えません。

返事もせずに仕事を続けていると
ノックの音も無くドアが勢いよく開き

「雅」
ハスキーな威圧感ある声が部屋に響く。

「倒れたと?」
艶のある黒い毛皮のロングコートを着こなし、私の机の元にやって来た。
相変わらず
迫力あるよ華子様。

「失礼します」
華子様の後ろから小柄な女の子が飛び出し、私の瞳孔をチェックして脈を測り、持参した血圧計も取り出す。

「清香は看護師の資格を持っている」
平然と華子様はそう言った。

すごいな清香さん。
ただの可愛い女の子じゃないんだ。

「ちなみに大型特殊免許と危険物取扱者とけん引免許もある。松竹歌舞伎検定は2級を持ってる」

松竹歌舞伎って……。

「昨年は助産師の資格も取りました」
にっこり笑って清香さんが付け加えると

「そうだ。家電製品アドバイザーの資格もある」

いやそれ
よくわからないんですけどっ!
助産師さんと家電アドバイザーはジャンルは違いますけどっ!

「脈も血圧も大丈夫です」
清香さんは手際よく血圧計を片付け、華子様に報告すると

「啓司から話を聞いて心配した」

しんみりと私の目を見てそう言ってくれた。

心配してくれたんだ

華子様ありがとう。



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