王子な秘書とシンデレラな御曹司

バレンタイン当日。

資料室という副社長室にチョコレートが運ばれる。

ソファ前の小さなテーブルにチョコが並んでる。

え?うちの?
うちの副社長にですか?
本当に?いいのうちの副社長で。
別の俺様副社長じゃなくて?

こんなへタレで変わり者で怒りのツボがわからない男に?
いいのもらって?
思わずチョコの前で感動で佇んでしまう。

修正テープと闘って負けていた男が
よくぞここまで成長した。
チョコは人望と人気のバロメーター。
たとえ義理でも嬉しいです。
立派になったな副社長。

「ありがたいですね」
心からそう言って、誰からいただいたかチェックする私。
お返しを用意するのも秘書の仕事。
気合を込めてお礼をしなきゃ。

名前を見ると
付き合いのある課のお姉様達やら新人さんやら、お掃除のお姉様達やらゾーンが広いな。

副社長は成長した。
もう私がいなくても大丈夫ってくらい成長したと思う。

畑違いの職場からやってきて
かなり努力して
かなり苦しんだけど
他の社員との関わり合いも優しくマメで、接する人には敬意を持って接する。
上から目線にならず
丁寧に話をしているのでファンも多い。


だから
今の状況が苦しい。

先週も
こっちが先に考えていた案を、偶然にもあっちの副社長と田崎専務が同じ案を出す。

ずーっと練り上げて
残業も休日出勤もいとわず
頑張って来た案を先にお手柄されてしまった。

悔しくて半泣きの私を目にして

「そんな時もありますよ」

副社長に逆に慰められても
理不尽な悔しさは消えなかった。




< 178 / 245 >

この作品をシェア

pagetop