王子な秘書とシンデレラな御曹司
「副社長はこの状況をおわかりでしょうか?」
私もよくわからなくて不安だけど
常務と部長にあんな話をさせられては、引っ込みがつかなくなってきた。
一緒に闘うしかないだろう。
「えーっと……」
副社長は長めの前髪をかき上げながら困り顔。
「仕事で結果を出して、半年後の後継者に指名されたらいいんですよね」
まぁ……そうだ。
「でも僕は、ずっと研究ばかりが仕事で、人混みもスピーチも苦手でして……」
ん?
「後継者争いも興味がなくて、自信も無くて、できるなら弟に全て任せたいのだけど、常務に説得されまして……このままでは会社が乗っ取られると……」
なんかイラッとくるのはナゼでしょう。
「でも僕は……その……」
「副社長!」
私の怒鳴り声が狭い資料室に響き
副社長は「はいっ!」と驚いて返事をする。
「貴方に社運がかかっているのです!」
「はいっ」
「こんな扱いまでされて、完璧バカにされてるんですよ。もはやイジメですよ。パワハラですよ。このまま負けて田崎専務と俺様御曹司に会社を取られていいんですかっ?」
「……ダメです」
「では闘いなさい!男なら勝ちなさい!」
「はい」
「ビビるな!」
「すいませんっ!」
「私が副社長をこの会社の後継者にしてみせます!」
言い切ってしまった。
弱い者いじめが大嫌い
困った人を見捨てられない自分の性格が悪いのか
もう前進あるのみ。
「頑張りましょうね!」
励ましの言葉とは裏腹に
その時の私の顔は
鬼のように怖かったと……後から副社長は言っていた。